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小ネタ:食文化を規定する味の要素

食文化

その食文化を規定する、固有の味覚の構成要素を考える。

まず、五基本味の内、甘・酸・塩・苦の配分が土台となる。しかしこれらの配分は、その食文化を規定するほどの特色を与えない。異なる食文化と認識される味覚であっても、この配分が全く同じ場合は十分にあり得る。配分そのものが食文化の一部ではあるが、それは個性とするには不十分である。

固有の食文化を強く規定するのは、うま味と芳香である。

うま味は、アミノ酸や核酸、あるいは多様な有機酸によって生じる味覚である。量の大小はあれど、これらはあらゆる食材に含まれ得るため、その組み合わせは膨大となる。また、発酵や分解によって集中して生産が可能なため、その食文化の中心となる調味料の根幹も成す場合がある。

芳香もまた多様な味覚である。空気中の汎用的な物質を検出する嗅覚は、無数の物質とその組み合わせに対応する。うま味より更に多様な組み合わせは、食文化を強く規定する。

うま味も芳香も、基本の四味と異なり、より広い物質の検出を行う味覚である。そのため、食材ひとつが違えば、全く異なる組み合わせを生じ得る。また食材の状態、調理工程、料理の状態ひとつで大きく変化し得る。更にここへ、温度と触感が加わり、ひとつの食味が形成される。ただし、温度や触感はひとつの食文化に於いても大きな幅を持ちうるため、食文化そのものを規定する影響力は限定的である。

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