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小ネタ:綿棒の硬さの基準

綿棒

耳垢はドライタイプだが、風呂あがりに綿棒をよく使う。また耳垢だけでなく、耳全体の掃除にも使う。しかし特定の製品に愛着があるわけではないので、その時々、ドラッグストアや百均などで手頃なものを買っている。そうすると、たまに異様に軸のやわらかい製品があり、がっかりする。

好みや用途によって変わるだろうが、基本的に硬い綿棒が好きだ。特に耳全体の掃除をしていると、やわらかい綿棒では使い物にならない。外耳道の中はともかく、外耳全体の掃除には、ある程度力を入れてこする必要がある。やわらかい綿棒はその力に負けて曲がってしまう。

稀にとても硬く、使いやすい製品もある。ある程度の範囲に収まりつつ、こう当たり外れがあるのは、ろくな基準が無いからではないか。そう思って調べた。

業界の自主基準

以下の記事で、似たような疑問を調査していた。

記事では記者が愛用しているらしいライフ ブラック綿棒を製造している平和メディクにインタビューし、

「綿棒の軸の硬さ・太さや綿球の強度は、日本衛生材料工業連合会の定める“綿棒の安全衛生自主基準”に沿って、その範囲の中で作られているんですよ」

という回答をもらっている。記事自体は後半、平和メディク社の綿棒についての紹介で終わっているが、もっと調べたい。そこでまずは記事に出てきた業界の自主基準を調べた。

一般社団法人 日本衛生材料工業連合会は、おむつやガーゼ、マスク、絆創膏、生理用品、そして綿棒など、衛生関連の製品を製造する企業の業界団体。下部ではさらに、全国衛生材料工業会、全国紙製衛生材料工業会、全国救急絆創膏工業会、日本清浄紙綿類工業会、全国マスク工業会に分かれている。理事にはユニ・チャーム花王ピジョンなど、衛生・ベビーなどの大企業がずらりと。1950年に発足しており、歴史も古い。衛生関連商品が相当な市場規模の日本で、おそらく業界最大の団体であり、日本製の綿棒はほとんどがここの自主基準に影響を受けていると考えて良さそうだ。

ちなみに、TSS(トキシックショック症候群)についてといった一般向けのページもある。てっきりタンポンで起きるものだと考えていたTSSが、事例の半数は手術や火傷などだと知った。黄色ブドウ球菌なんだから当然、単なる感染症でも起きうるはずなのに、勘違いしてしまっていた。

さて綿棒の自主基準だが、一般公開のPDFとなっている。

綿棒の安全基準と聞いてまず思い浮かべる、衛生や綿部分の量、安全な材料などの指針があり、3番目に「軸の強度」という項目で、問題の硬さの基準が示されている。

まず基準は、紙軸とプラスティック軸で異なるものが用意されている。しかしそれぞれかなり大雑把なもので、試験用の荷重と保持すべき状態などが示されているにすぎない。しかも硬さの下限は判定できても、上限は基準自体が無い。ざっくり言えば、「ある程度硬ければ良し」といった単純な基準しかなかった。

前出の記事にあった製造者のインタビューでは、自主基準の範囲内でメーカーが決めているとあったが、範囲も何も、満たすべき硬さしか基準は無かった。つまり自主基準上は、鉄釘のような軸の綿棒も適合していることになる。

やわらかすぎる綿棒

では、明らかにこの基準を下回る軸の強度しかない製品は、なぜ存在するのか。当然業界の自主基準に則っていないからなのだが、ドラッグストアで購入していても、半数は欲しい硬さに足りず、更にその足りない製品の内の半数はやわらかすぎる。

自分が硬い綿棒を好むため、半数もの製品が物足りないのは仕方ない。しかしもし、25%も業界自主基準に満たない硬さの綿棒があるのなら、せめてふにゃふにゃの製品を避けるためにも、もっと積極的に日本衛生材料工業連合会に参加している企業の製品を選ばなければならない。

百均などで購入できるのは、日本の業界団体の基準など知らない海外で製造されたものもあるのかも知れない。そういう製品に比べれば、国内大手が基準に則って製造した製品は割高な可能性がある。しかしやわらかすぎる綿棒は、せいぜい家具などの細かい掃除に使う程度で、他に使い道がない。私のように硬い綿棒でないと困るなら、まずは国内の大手企業の製品を選んだ方がよい。

硬さの改善

やわらかすぎる綿棒を手に入れてしまったら、なんとか硬さを改善して使えないだろうか。

まず紙とプラスチックの軸の材料によって、方針は分かれる。紙軸であれば、硬度を上げる材料を染み込ませることができる。プラスチックの場合そういった操作は難しいため、何かを巻くか塗るかする必要がある。たかだか綿棒にかける手間だと考えると、明らかに染みこませる方でないと割に合わない。

紙に染み込ませるとしたら、長期間安定していて、綿棒として人体に無害で、使い捨てにしてよい安価な材料はなんだろうか。たとえば柿渋を思い付いたが、単価が明らかに高い。他に条件に合いそうな身近なものというと、ゼラチンや寒天などの食用凝固剤はどうだろう。しかし、単価が基準内で収まったとしても、衛生面で不安は残る。TSSを起こしかねない培地代わりを自分で添加することになるためだ。

結局、やわらかすぎる綿棒を手に入れてしまったら、諦めて異なる用途を探した方が早そうだ。まずは国内大手で探し、ある程度硬さの好みに合う製品を持っていおいた方が良い。

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